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Journey of Nobel Prize for Medicine

ノーベル生理医学賞のすべてを少しずつ追う旅

主要死因の変遷 _ 2000年以後 (理想の医学)

おまけ2 主要死因の変遷
[project A では、疾患についての説明を軸として展開します。生命科学の知識を応用して記述できるようになることを目的に、その概要を記します。そのため、臨床的な医学アドバイスを行うものではありません。 notion: The resources on this site should not be used as a substitute for professional medical care or advice.] 主要死因の変遷について、今回にかけてまでさまざまな事象を取り扱った。1950年代までに起こった感染症の歴史や、50年代から2000年にかけておこった高齢化の問題まで。そして今後の主要疾患についての死因縮小の予測をたてた。予測を立てて実行することは、よりよい社会を作る為に必要である。つまり、医学や医療の最終的な理想像を思い描かなければいけない。理想を描けて初めて、よりよい状況を創造するための力を得るのである。 もっとも良い理想というのは老いたときに使う医療費がゼロな事である。これは間違いがない。(1) 今後、世界レベルにおいて益々と超高齢化が進んでいく。たくさんの老人の面倒を見なければならない時代になるので、老いた時に医療費がかからないことがもっとも望ましい。 これは医学的に言い換えれば、老衰で死ぬ人間が死因の大半を占め、不慮の事故、小数の自殺という順位で死因が続く状態であろう。この状態においてはある特定の疾患にかかったとしても、薬をのめば必ず治ってしまう状態である(2)。そのため、最終的な死因が老衰になるのである。そしてこの状態においては、脳の機能の多くが解明されたために、精神疾患を完全に治療することができる。そのため、不慮の事故や自殺とった事象が減る。自殺は社会や文化、そして宗教の影響を受けるが、医学が及ぼすことができる影響として、精神疾患者の苦悩を取り払うことができる状態である。 この状態になるまで何年かかるのだろうか。James Watsonは脳の機能解明には100年のスケールが必要であると述べる(1)。実際に医学や生物学がもっとも明らかにしなければならないのは脳の発生や機能の解明であるので、この研究に数世紀がかかるということである。 脳の構造は他の組織よりも遥かに複雑であるので、医学の学問としての姿勢は、これらを解決するための研究手法の開発や優秀な研究者の育成にもかかっているだろう。 Ref. 1, 『知の逆転, 吉成真由美ほか, NHK出版新書, 2012』