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Journey of Nobel Prize for Medicine

ノーベル生理医学賞のすべてを少しずつ追う旅

主要死因の変遷 _ 2000年以後 (DALY指数への変換)

おまけ2 主要死因の変遷

[project A では、疾患についての説明を軸として展開します。生命科学の知識を応用して記述できるようになることを目的に、その概要を記します。そのため、臨床的な医学アドバイスを行うものではありません。

notion: The resources on this site should not be used as a substitute for professional medical care or advice.]

2000年以後においては、がんが次第に克服されていくと予測した。また、大血管障害は本来であれば適切な代謝管理で予防できるはずであり、その治療方法は生化学的な手法を用いた研究によって解明されるべきであると説明した。つまり、肥満をどのように解消するかというメタボリズムの問題である。肺炎は高齢化によってその罹患率が再上昇してきたが、高齢者への多価ワクチンの定期接種が今年10月から始まり、きめ細かい医療システムの構築によって抑えることができるはずである(1)。この上位4つの疾患が克服され、最終的には老衰が死因の最上位となるのが理想なのである。

その上で、2000年以後においては死亡という観点ではなく、機能障害によって個人の生活が障害されたり、また社会的な損失がもたらされるケースについて考えなければならない。James Watsonは「より老年を楽しめるようにしていかなければならない」(2)と述べている。脳の失調をきたすことで老年は確実に楽しめなくなるし、疾病にかかることで生活に支障をきたす事もある。

日常的に介護を必要とすることなく、自立した生活がおくれる期間のことを健康寿命と呼ぶ。なにかしらの疾患にかかることで介護が必要になる場合があるが、最終的に息を引き取るまでには期間がある。これはどの人間にとっても共通なので、平均寿命と健康寿命の平均値の差というものが、平均的な健康ロスの期間であると言える。日本においてその期間は10年程度である。(3)

1990年にHarvard UniversityのMurrayとLopezによって考案され、その後2000年にWHOでとりあげられた指数にDALY : disability-adjusted life year がある。従来は経済性を計るために開発されたものであるが、これは個人の健康ロスの期間も示している。計算方法は平均寿命から健康寿命を引く事で求められる。

DALY =平均寿命 expected life years  -  健康寿命 healthy life (4)

このDALYには、疾患にかかったために死亡したために短縮された期間 (Years of life loss: YLL)や、疾患にかかって身体障害を有している期間 (Years Lived with Disability)が含まれている。前者を寿命ロス、後者を健康ロスと言い換えると都合が良い。

(4)

このDALY値を指標にすることで、健康ロスの大きな疾患が何かを調べることができる。

つまり、死亡率で判断していた従来の方法からDALY指標へと変換すると、健康ロスの大きさを考慮した順位で並び替えることができる。また、YLLとYLDの比率を見る事で、より健康ロスにつながりやすい疾患を探すことができる。2000年以後においては、健康ロスを改善することが求められるであろう。

たとえば、脳血管疾患や虚血性心疾患を発症すれば、脳に麻痺の後遺症が残る可能性がある。また、うつ病認知症は健康ロスが大きい。

(5)

結論として、DALY指標によって医学の成果を確認していく必要があるだろう。

その上で、重点的に解決しなければならない疾患は、うつ病統合失調症アルツハイマーなどの神経精神疾患である。また、慢性閉塞性肺疾患や関節リウマチも重点的に研究し、寛解できるような治療法を確立する必要がある。糖尿病も大きな問題になる筈で、特に現在のアメリカは肥満問題が深刻化しているので、代謝についての研究も急務である。

Ref.

1, 前回の項を参照のこと。

2, 『知の逆転, 吉成真由美ほか, NHK出版新書, 2012』

3, http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/zaitaku/dl/zaitakuiryou_all.pdf

4, http://en.wikipedia.org/wiki/Disability-adjusted_life_year

5, http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2050.html